上手い人を参考にしても上手くなれない理由
飛ばしている人を、参考に
アプローチが上手い人を、参考に
ドローの人、フェードの人を、参考に
ボールが高い人、低い人を、参考に
アイアンが上手い人を、参考に
バンカーが上手い人を、参考に
プロがトッププロを参考に
色々とあります。
これらは、感情的には
上手くなれそうな気がします。
【上手い人を参考にする】
何も間違っていないようなこの事が、実は
ゴルフに関しては、あまり良いこととは
言えないのです。
なぜかと言えば、人間(スイング)には
個性があるからです。
筋力、体力、体型、柔軟性、動きの癖、感覚など
どれ1つ取っても、同じではない事が分かりますね?
例えば、もし似たようなトップの形を
していたとしても、ダウンスイングの
タイミングや動き方は、みな微妙に異なるのです。
特にわずか1/2500秒しかない
インパクトゾーンでの微妙な
感覚による調整動作
ここが最も人により違いが出る部分です。
ツアープロもみな、スイングに個性があります。
そして、自分自身のスイングのズレを
インパクトゾーンで上手くアジャストして
真っ直ぐに打っているのです。
この「アジャスト」がつまり「調整動作」ですが、
これが上手にできる人が「上手い人」です。
もちろんプロは、スイングの構造がシンプルで
再現性も高く、安定して良いショットが
打てるような仕組みになっています。
しかしながら、ミスをしないプロはいません。
つまり、
「機械のように常に完全に真っすぐに打てる」
というわけではないのです。
上手くタイミングが取れず、アジャスト動作が
ズレてしまい、ミスとなります。
その要因は、多岐に渡ります。
・メンタル
・気候
・体調
・調子
・フィジカル
・コース状況
そして、
・単なるミス
等々です。
スイングにも、そして外的要因にも
これだけ様々な要素があるスイングを
「真似る」ことがどれだけ難しい事なのか
理解できますよね?
ですから、自分に無いものを持っている人がいても
その人を真似るのは、効果的ではないので
別の方法で向上を目指すことです。
私は誰かの「型」を真似るのではなく、
その人の良い部分の主旨、
コンセプトならば、少しは参考にしてもいいと思います。
例えば、
・バランスの良い姿勢
・コンパクトな腕の振り
・腕と体が一体となったテークバック
・捻りの効いたトップ
・しっかりとした肩の回転
・タイミングの良い手首のコッキング
・スムーズな切り返し
・良いリズム
・力まず滑らかな動き
等々です。
細かい動作や形は、個性が合ったり、
そのプロ自身も意図していない癖だったり、
何も考えずに発生してる動きの場合もあるので、
無視した方が無難でしょう。
かつてレッドベターが雑誌のインタビューで、
「どの選手のスイングが一番良いスイングでしょう?」と
聞かれたことに対して、
「活躍している選手のスイングが良いスイングです」
と答えていました。
私は、その時はよく意味が理解できませんでした。
しかし今になって何となく理解出来るような
気がするのです。
どんなプロも、そしてアマチュアもですが、
良い面、独特な面、良くない癖が必ずあります。
そういった事を全て含めて、何が良くて
何が良くないと完全に割り切れないのが
ゴルフスイングだからです。
そして理論的に良い動きのスイングのプロが
必ずしも活躍するとは限らないからです。
レッドベターは、
どんなに良いスイングに見えても
結果を出していなかったら、それは
「良いスイングとは言えないのでは?」
という事を示唆していたのでしょう。
プロでもアマでも一見、
セオリーに反している動きが
合っている人もいるし、
セオリーを忠実に守らないと
安定して打てない人もいます。
全ての人のゴルフスイングは、
「白紙」ではなく必ずその人の
「色」がついています。
これは、今日からゴルフを始めると言う
本当のビギナーにも当てはまります。
もし白紙ならば、良いとされる動きを
教えてその色に染めれば良いのですが、
実際には、良い動き、良くない動き、癖など
全くの初心者にも必ずあるものなのです。
ゴルフスイングは、十人十色
百人いれば百通りなのです。
だから、真似をしたり参考にしても
上手くなれないのです。
現在世界一位のスコッティ・シェフラー
彼のスイングには、独特な面があります。
彼のスイングは、良いスイングなのか?
と言えば、もちろん「Yes」です。
しかし、彼が活躍しているからと言って
彼の独特な「脚の動き」を取り入れることが
良い事なのか?と言えば、
それは「No」です。
彼にように才能が無いから真似できない
彼のような身体能力が無いから真似できない
という事ではないのです。
彼の独特な脚の動きも、彼のスイングのズレを
アジャストする「調整動作」だからです。
彼には必要な動作ですが、他の人には
不要な動きです。
なぜかと言えば、違うスイングだからです。
ゴルフ以外の他のスポーツや
他の分野の多くの事も
上手い人を参考にすれば上手くなっていきます。
そして誰もが成長過程で、様々なことを
既に出来る人、上手い人から学んで
成長してきています。
だから心情的には、「上手い人を参考に」で
上手くなれそうな気持になっているのですが、
ゴルフに関しては、それは無駄になってしまう
可能性が高いものなのです。
自分自身を知ること
具体的には、自分特有の良くない動きを知ること
そして、どうすればそれが修正できるのか?
これを知り、覚え、常に繰り返すこと
これがスイングの仕組みを変えて
向上するための唯一の方法です。
(上達する道がこれしかないと言う
ことではありませんのでお間違いなく)
最後までご覧いただきありがとうございました。
本物のナイスショットと安定したスコアアップのために
A.Ishida